スピリチュアルメッセージ from 寺尾夫美子

スピリチュアルヒーラー寺尾夫美子がお届けする導きからのメッセージ

アメリカのトラウマ

fumalhut72009-08-07

母は子供の頃、戦争を体験した。私が小さい頃は、戦争体験をよく話してくれた。それは、母にとって強烈な思い出であり、子を持った母になっても尾を引き続ける恐怖だったからだと思う。
母の実家は、四国の高松で、瀬戸内に面した小さな町だ。私が聞かされた話のひとつは、その瀬戸内を渡る船で起きたことだった。
その船は、軍でも軍輸船でもなく、民間の渡し船だ。
母のクラスメイトがその船に乗っていたらしい。お昼間のお天気が良い日だった。
母の友達は、船の甲板に出て、景色を眺め、風を楽しんでいたらしい。
そこへ、アメリカの爆撃機が突然、向こうから機関銃を嵐のように撃ちながら飛んできたらしいのだ。
バババババッ!と、弾が海から甲板をなめ回してはじき飛んでいく。
母の友達は、慌てて船室へ逃げ込もうとしたが、間に合わず、背中から打たれてしまった。お腹が張り裂け、甲板に倒れ込み、「痛い、痛い、お母さん!!」と泣き叫んだという。
降りしきる弾丸の雨の中を、誰も近づくことができず、友達はそこで息絶えた。
そうやって友達の一人を失ったと聞かされることは、子供の私にとって戦争の恐ろしさを痛感させた。
私が話しを聞いた頃は、既に日本の経済は復活し、生活は貧しくなく、毎日幸せに暮らしていたし、時々見かけるアメリカ人旅行者の団体が珍しくて、子供達は駆け寄って握手を求めた時代だ。
だから、アメリカ人を恨んだり嫌ったりするのではなく、戦争という愚かさをただ悲しんだのだ。
昨日、日本に1個目の原爆が投下された日、広島では祈りの式典が執り行われた。
もうわずかになった被爆者の人達が語り継ぐ原爆の恐ろしさ。毎年この頃になると、テレビや新聞で特集があり、目にする機会が増える。
広島や長崎の人達は、ただただ、原爆の恐ろしさを伝え、世界から核兵器と戦争がなくなることを祈り、それを力強い心で伝える。
そして、いつも、アメリカを恨むような言葉はどこにもない。
にもかかわらず、日本が原爆を語ると、アメリカが直ぐさま原爆を使用したことで戦争が早期終結したことを言う。必ず言う。
日本が起こした愚かな戦争が、アメリカが意を決して原爆投下したことで、互いの国の何万人もの青年や市民の尊い命が失われなくて済んだ・・と言う。
広島も長崎も、戦争の愚かさは言うが、原爆投下のアメリカを恨んでいない・・、と思う。しかし、アメリカは、原爆と被爆者という言葉を聞く度に、自分たちの正当性を声高に言うのだ。
その口調が強ければ強いほど、アメリカは、核兵器を使用したことで、どれだけ傷ついているか、どれだけその投下が戦争責任よりも重かったか、深く愁うているのではないかと感じるのだ。
傷は、つけられた側より、つけた方がより傷つく。
トラウマは、傷ついた人のことを言うことが多い。しかし、実際は、傷つけることの方が、ずっとずっと心に痛く、深いトラウマになる。
それは、魂の仕組みが、そのようになっているからだ。
魂は、善からなるもの、善のエネルギーで呼吸する。愛からなるもの、愛を呼吸する。
傷つけられると、その愛が否定され、心に哀しみを落とす。
傷つけると、愛であるはずのその存在自体が否定され、生きていけなくなるのだ。
傷は、傷つけた側の方が深い。トラウマも、傷つけられた人は人によって癒されるが、傷つけた人は誰からも癒されない。自ら非を認め、自ら変わろうとするときにしか癒しが起こらない。
それは、魂が、そのために生まれてきているからだ。
自らの行いの間違いをやり直すために転生してくる。過去生の過ち、過去の過ち、自ら起こした殺傷は、自ら刈り取らなければ終わらない。
アメリカが、原爆使用の正当性を高らかに謳う度に、傷の深さを感じる。
日本が許しているのに。親しくしているのに。みんな仲良しになったじゃないか。
日本は戦争を恥じる、戦争を反省する、戦争を否定する。しかし、それに関わった国々の、今を生きる人達の誰も否定していないのに。
正当性を謳うことで、そのトラウマから目を背けることができるが、それでは永遠に癒されない。
たとえどんなに正当な反撃でも、人は人を傷つけると傷つくのだ。それが哀しい。
アメリカには気の毒なことだ。心を開けば、癒されるのに。早く気がついて欲しいと願っていた。オバマさんが、初めて核を使用した責任を語った。世界から核兵器を根絶するためのアクションを起こし始めた。
アメリカの傷が癒える日が来て欲しいと願う。
そんな全てを感じながら、終戦記念日まで、静かに祈りのときを過ごそうと思う。
合掌。


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