電車の中で、大声で子供を叱りつけている母親を見ました。
ちびっ子が、空いている車内を楽しげに走ったのです。
さて、母親は、
“じっとしなさい!いつも言っているでしょう!電車の中は静かにするのでしょう!お母さんはいつも言っているでしょう!”
と叫んでいます。
なるほど。
その母親の、「私は正しい!」と主張する、悲鳴のようなメッセージが伝わります。
「私の子供は暴れて悪い子だけど、私はいつもしっかりとしつけています。」と、車内の面々にアピールしているのですね。
勿論子供は聞いていません。
腕を引っ張られ、押さえつけられても暴れ、手をすり抜けてまた走ります。
こんな光景を、幾度見たことでしょう。
実際、車内では静かにした方がいいでしょう。きちんと躾けてやれば、子供は覚えて自ら進んで言いつけ通りにするはずです。
しかし、言葉は子供に向いているのではなく、車内の人、社会へ向いており、はたまた自分を守る防御として発言しているのですから、子供の心に届くはずがありません。
そしてまずいのは、人前で叱られた子供の面目。
子供にも自尊心があります。かっこわるい目には遭いたくありません。
しかし、いきなり公衆の面前で自分の過ちを罵られ、さらし者にされ、面目をつぶされたら、大人しく言いつけ通りにするはずがありません。
その母親の態度に怒り、実際ちびっ子としても何が余計に腹が立っているのかは自覚がないことだろうと思います。
こんな体験をした子供は、「人が間違いを犯したら、公衆の面前で罵倒することは正しい!」と覚えます。
大人になって、友人ができ、恋人ができ、信頼関係を結んだとしても、間違いを犯したらみんなの前で言うでしょう。
みんなに見てもらって聞いてもらって、どれだけ自分が正しいか認めてもらおうとするでしょう。
電車の中で母親がアピールしたように、本当にしたいことは自分を認めてもらうことで、相手と分かり合うことではないのです。
子供は親の背中を見て育つと言いますが、言葉で教えた躾ではなく、そのことを言われたときのシチュエーションと、言っている大人の態度と見えないメッセージを受け取って育つのです。
たとえ自分の子供でも、躾けるときは声を落とし、子供の目線にしゃがみ、なぜいけないのか理由を説明して、決して面目をつぶさないこと。
叱られるときでも自分の親は面目を守ってくれたと、見えないメッセージが伝わり、人を尊重する大人になるでしょう。
人の失敗や間違いをあげへつらうことなく、そっと個人的に伝え、愛を持って分かり合える人間関係が作れるはずです。
そんな大人になれたこと。
父と母へ、深い感謝をしないではいられません。
両親から学んだ、人としてとても大切な心を、一人でも多くのご縁のある方々へ伝えていきたいと思います。
合掌。
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